芝生の根切り(スライシング)は、長く管理している芝生の更新作業として行われる方法のひとつです。芝生を管理していると、根や地下茎が密集したり、土が固くなったりすることがあります。
根切りは、ターフカッターや専用の根切り刃を使って芝生に切れ目を入れ、地中の根や地下茎をカットする作業です。
この記事では、実際に複数の庭で根切りを行っている「ちょい芝」の経験をもとに、根切りの目的・適した時期・使う道具・作業方法を写真や動画とあわせて紹介します。
芝生の根切り(スライシング)とは?
根切り(スライシング)とは、芝生に縦方向の切れ目を入れ、地中に伸びている根や地下茎をカットする芝生の更新作業です。
高麗芝やノシバは、地下茎やほふく茎を伸ばしながら広がっていきます。長く管理している芝生では、根や地下茎が密集してくることがあります。
そこで根切りを行い、古い根や地下茎の一部を切ることで、芝生を更新するきっかけを作ります。
ちょい芝では、低刈りやサッチング、エアレーションなどと同じように、芝生の状態を見ながら取り入れている更新作業のひとつです。
芝生の根切りを行う目的
根切りは、「芝生の元気がないから必ず行う」という作業ではありません。
芝生を長く管理していると、根や地下茎が密集したり、古い組織が増えたりします。そうした芝生を更新する方法のひとつとして根切りを行います。
- 密集した根や地下茎の一部を切る
- 芝生を更新するきっかけを作る
- 芝生に切れ目を入れて地表付近の環境を動かす
- 低刈りやサッチ除去など、ほかの更新作業と組み合わせる
根切り後の変化は、芝生の状態や作業時期、気温、水分などによって異なります。そのため、「根切りをすれば必ず密度が上がる」と考えるのではなく、芝生を更新するための選択肢のひとつとして取り入れるのがいいと考えています。
実際に根切りを行っている庭
ちょい芝では、SHIBAMURA庭のほか、2026年にはYASUYO庭・YUKI庭・I-HAN庭でも実際に根切りを行いました。
根切りだけを単独で考えるのではなく、そのときの芝生や土壌の状態に合わせて、芝刈りや際刈り、目土などの作業と組み合わせています。
▶ 【芝日記】芝刈り20mm+スライシングで更新作業|YASUYO庭(2026/4/26)
▶ 【芝日記】スライシングで更新作業と際刈りで整備|YUKI庭(2026/4/29)
▶ 【芝日記】密度アップを目指して根切り実施|土壌硬化の可能性も判明|I-HAN庭(2026/6/14)
I-HAN庭では、根切りを行った際にターフカッターが数cm程度しか入らず、想像以上に土が固いことが分かりました。この経験から、根切りだけではなく土壌環境にも目を向け、その後はコアリングへと管理を進めています。
根切りとエアレーションの違い
根切りと混同しやすい作業に「エアレーション」があります。
どちらも芝生の更新作業として行われますが、作業内容や目的は異なります。
| 作業 | 主な内容 |
|---|---|
| 根切り(スライシング) | 芝生に切れ目を入れて根や地下茎をカットする |
| エアレーション | 芝生に穴を開け、土壌の通気性などの改善を図る |
| コアリング | 筒状の刃で土の芯(コア)を抜き取るエアレーションの一種 |
芝生の根や地下茎が密集していると感じる場合は根切り、土が固く締まっている場合にはエアレーションやコアリングというように、目的によって作業を使い分けます。
実際にI-HAN庭でも、根切りをしたことで土の硬さに気づき、その後のコアリングにつながりました。
ちょい芝では、ブレンドカルスを使った土壌改良を行う際にコアリングを組み合わせることもあります。
コアリングについては、芝生のコアリング方法の記事で詳しく紹介しています。
芝生の根切りを行う時期はいつ?
根切りは芝生そのものを切る作業なので、いつ行ってもいいわけではありません。
高麗芝やノシバなどの日本芝では、芝生が生育していて、作業後の回復を見込める時期に行うことを基本にしています。
春〜初夏
春に芝生が動き始めてから初夏にかけては、根切りを取り入れやすい時期です。
ちょい芝でも、2026年はYASUYO庭で4月26日、YUKI庭で4月29日、I-HAN庭で6月14日に根切りを行っています。
春から初夏の更新作業として、低刈りやサッチ除去、目土などと組み合わせることもできます。
秋
夏の暑さが落ち着き、芝生がまだ生育している時期であれば、秋に根切りを行う方法もあります。
ただし、秋が深くなって芝生の生育が大きく低下してから強い更新作業をすると、回復する時間を十分に取れない場合があります。
真夏・休眠期は無理に行わない
猛暑期は芝生に負担がかかりやすいため、ちょい芝では積極的に根切りを行う時期にはしていません。
また、日本芝が休眠している冬も、基本的には生育期まで待ってから行います。
カレンダーだけで決めるのではなく、作業後に芝生が生育・回復できる状態かを見て判断することが大切です。
根切りに使う道具|手動と電動の違い
家庭の芝生で根切りを行う場合、大きく分けて手動のターフカッターと電動芝刈り機+根切り刃の2つの方法があります。

| 道具 | 向いている使い方 |
|---|---|
| ターフカッター | 狭い庭・部分的な作業・自分で深さを調整しながら作業したい場合 |
| 電動芝刈り機+根切り刃 | ある程度広い面積を効率よく作業したい場合 |
ターフカッターで根切りする
ターフカッターは、刃を芝生に差し込んで根や地下茎を切るシンプルな道具です。
電源が不要で、切る場所や間隔を自分で調整しながら作業できます。狭い庭や、まず根切りを試してみたい場合にも使いやすい方法です。
一方で、庭全体を手作業で進めるため、面積が広くなるほど時間と体力が必要になります。
電動芝刈り機+根切り刃で作業する
対応する電動芝刈り機に専用の根切り刃を取り付ければ、広い範囲を効率よく作業できます。
ちょい芝では、京セラ(旧リョービ)の電動芝刈り機と根切り刃を使った作業も行っています。
手作業に比べて作業を進めやすい一方、機種によって対応する根切り刃や作業方法が異なるため、使用前に対応機種や取扱説明書を確認してください。
根切り作業に使用する場合は、芝刈り機本体とは別に対応する根切り刃が必要です。
芝生の根切りのやり方|基本の4ステップ
実際の作業方法は使用する道具や芝生の状態によって変わりますが、基本的には次の流れで行います。
① 必要に応じて芝刈りをする
電動芝刈り機に根切り刃を取り付ける場合などは、作業しやすいように先に芝生を刈っておきます。
ターフカッターを使う場合は、芝生の長さや状態を見ながら必要に応じて芝刈りを行います。
② 芝生に切れ目を入れる
ターフカッターや根切り刃を使って芝生に切れ目を入れていきます。
一度に芝生を傷めすぎないよう、芝生の状態を確認しながら作業します。
③ 必要に応じて目土などを行う
根切り後は、その日の管理内容に合わせて目土などの作業を組み合わせることがあります。
必ず根切りとセットで行わなければならない作業ではないので、その庭の状態に合わせて判断します。
④ 作業後は芝生の状態を確認する
更新作業の直後は、切れ目が見えたり、芝面が一時的に乱れたりすることがあります。
その後の気温や生育状態、水分などを確認しながら、芝生の回復を見ていきます。
根切りするときの注意点
やりすぎない
根切りは芝生の根や地下茎を実際に切る作業です。回数を増やせば増やすほど良くなるものではありません。
ちょい芝では毎週行うような作業ではなく、芝生の状態を見ながら更新作業のひとつとして取り入れています。
猛暑など芝生に負担がかかる時期を避ける
芝生が暑さや水不足で弱っているときに、さらに強い更新作業を重ねるのは避けています。
作業時期だけでなく、その日の芝生の状態も確認してから行います。
埋設物がある庭では位置を確認する
芝生の下に散水ホース、配管、ケーブルなどがある場合は注意が必要です。
ターフカッターや根切り刃を地中に入れる作業なので、埋設物の位置が分からない場所では無理に深く作業しないようにします。
手動と電動、どちらで根切りする?
どちらが絶対に優れているというより、庭の広さや作業方法によって選ぶのがいいと思います。
- 狭い庭・部分的に根切りしたい → ターフカッター
- 初期費用を抑えて始めたい → ターフカッター
- 広い範囲を効率よく作業したい → 電動芝刈り機+根切り刃
- 対応する電動芝刈り機をすでに持っている → 根切り刃の追加を検討
ちょい芝では両方を使っていますが、家庭で初めて根切りをするなら、ターフカッターは仕組みも分かりやすく、必要な場所だけ作業しやすい道具です。
作業動画|ターフカッターで根切りする様子
SHIBAMURA庭で実際にターフカッターを使って根切りした様子を、早送り動画で紹介しています。ターフカッターを使った作業の流れや、芝生全体をどのように根切りしているのかを見る参考にしてください。
まとめ|根切りは芝生を更新するための選択肢のひとつ
芝生の根切り(スライシング)は、芝生に切れ目を入れて根や地下茎の一部をカットする更新作業です。
毎回必ず行う作業ではありませんが、長く管理している芝生の状態を見ながら、低刈りやサッチング、エアレーションなどと組み合わせて取り入れることができます。
- 根切りは根や地下茎をカットする更新作業
- 日本芝では生育・回復を見込める時期に行う
- 狭い庭ならターフカッターでも作業できる
- 広い範囲では電動芝刈り機+根切り刃も選択肢
- 芝生の状態を見ながら、やりすぎないことが大切
「根切りをした方がいいのか」「どの道具を使えばいいのか」で迷っている方は、まず庭の広さと芝生の状態を確認し、自分の庭に合った方法から取り入れてみてください。


